せっかく、離婚条件の話し合いが出来たのに「そのまま」にするのはもったいないですよ。離婚後の安心安全のために、書面に纏めて「約束を守ってもらえない」といったトラブルを予防しましょう!
離婚協議書、公正証書、調停調書は話し合いにより合意に至った事柄を纏めた物です。離婚届を提出する前に準備します。離婚すると決めてもどのように準備したら良いのか分からない方のために、離婚協議書、公正証書、調停調書をシンプルに比較して解説します。
2. 公正証書
3. 調停調書
離婚協議書、公正証書、調停調書の特徴
表にすると違いが明確ですね。日本では、離婚する方の約9割が協議離婚により離婚しています。
厚生労働省 令和4年度 離婚に関する統計の概況
1.離婚協議書 | 2.公正証書 | 3.調停調書 | |
作成場所 | どこでも可 | 公証役場 | 家庭裁判所 |
作成者 | 本人、行政書士、弁護士等 | 公証人 | 家庭裁判所書記官 |
離婚の形式 | 協議離婚 | 協議離婚 | 離婚調停 |
強制執行の範囲 | なし | 金銭債務に限る | 合意事項のすべて |
認諾文言 | 差押(強制執行)のためには執行文が必要 | 債務名義になるので不要 | |
費用 | 専門家に依頼する場合はその報酬 | 5,000円~ | 1,200円 |
完成の時期(目安) | 協議による | 1か月前後 | 離婚調停成立時 |
時効 | 合意内容による | 10年 |
1. 離婚協議書とは
夫婦の話し合いの結果、離婚条件として取り決めた財産分与、親権、養育費等について記載する合意書です。
協議内容が曖昧になることを防ぎ、約束事に協力しないといったトラブル防止になるため作成しておくと大変安心です。
作成方法は、場所を問わず手書きでも問題ありません。権利義務書面として作成することに不安がある方は、行政書士等の専門家に依頼することも可能です。
2. 公正証書とは
夫婦の話し合いの結果、離婚条件として取り決めた財産分与、親権、養育費等について記載する合意書を公正証書として作成します。
公正証書とは、裁判官等を退官した公務員である公証人が作成する公文書です。公正証書の内容によっては金銭債務の不履行があったときに裁判手続を経ることなく差押え(強制執行)ができます。
<手続きの流れ>
お二人の取り決めを元に離婚協議書の案文を作成
必要書類(印鑑登録証明書、戸籍謄本、不動産の登記簿謄本等)も準備
↓
公証役場との調整
離婚協議書案の確認、検討、公証役場で公正証書を完成させる日時の決定
↓
公証役場へ出向き、公正証書に署名捺印
公正証書完成
日本公証人連合会 公証事務
3.調停調書とは
家庭裁判所の離婚調停において、財産分与、親権、養育費等の条件の協議が進められ、合意に至ると離婚が成立し調停調書が作成されます。
調停には裁判官、調停委員が入り、裁判所書記官が調停調書を作成します。
<手続きの流れ>
家庭裁判所に調停申立
必要書類(戸籍謄本、不動産の登記簿謄本等)
↓
家庭裁判所に出頭、調停に出席
(回数はそれぞれ)
↓
協議が合意に至れば調停成立、調停調書作成
離婚協議書・公正証書・調停調書の違い
最大の違いは強制執行(差押え)です。
離婚協議書は強制執行することはできませんが、公正証書においては、支払が滞った場合には直ちに強制執行を受けてもやむを得ない(強制執行認諾文言)と記載しておくことで、家庭裁判所の手続きを経なくとも強制執行ができるようになります。
調停調書には裁判の確定判決と同様の強制力がありますので、調停での取り決めが守られない場合には、スムーズに強制執行の手続きが取れます。
まとめ
離婚協議書・公正証書・調停調書の特徴をシンプルに纏めました。離婚届を提出する前に、離婚協議の取り決めをどのように残すのがご自分に合った形なのか?ご検討いただけたらと思います。
行政書士は、街の身近な法律家として日々研鑽し予防法務に努めております。少し先のお話でも個別相談をお受けしています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
最後までご覧いただきありがとうございました。